2006年12月20日

アブシンベルにて(1)

アブシンベル大神殿.jpg

 この日は長かった。
 この日も忘れられない。
 なので、一泊しかしなかったけど記事をふたつに分けます。 寝台に揺られながらも熟睡して目を覚ますと、車窓の向こうには見たこともない風景が広がっていました。

アベラの車窓から.jpg
同じ国なのか

 牧歌的、という言葉がぴったりな風景。石造りの家に畑、ロバや馬に乗って移動する人々。道が舗装されていないので、車よりもロバや馬のほうが勝手がいいのでしょう。
 窓の向こうの世界は時間がゆっくりと流れている。
 あの日本の都会と同じ星の中にこの世界もあるのだと思うと、地球というものがどれだけ大きいのかということを思い知らされます。

 アスワンの駅には軍人がたくさんいて何らかの訓練中。写真を撮るのはまずそうだったので駅周辺の写真はありません。
 しかし雰囲気がずいぶん違いました。カイロはアラブ系の人が多く、ほとんどの人が洋服を着ているのですが、アスワンの人々はアフリカ系で、みんなガラベイヤというゆったりした服を着ています。
 エジプトではない、アフリカの国に来たような気分。

 この日はまず初めにボートでイシス神殿(フィラエ神殿)に向かいます。この神殿はナイルに浮かぶ小島の中にあるのです。川の中に島があるって時点で何だかとんでもないのですがその前にボートだボート。
 酔い止めを持ってくるべきだったと思っても後悔先に立たず。ボートから見えるナイル中流の景色は素晴らしかったらしいのですが、わたしは緊張しながらずっと空を見ていたのでろくに見ていません。くそぉ。

イシス神殿.jpg
陽射しが痛いのですが

 この神殿はもともと違う島にありましたが、有名なアスワンハイダムの建設によりその島が水没してしまったため、現在の場所に移築されました。
 というか太陽が、陽射しが、なんか熱い痛い溶けるギャアアア

イシス神殿の柱.jpg
うん、明らかに違う

 この神殿は比較的新しい神殿(とは言っても何千年も前のものですが)で、ローマの美術がエジプトの美術に影響を及ぼし始めたグレコ・ローマン時代のもの。柱などの装飾にローマの片鱗を見ることができます。

イシス神殿内部.jpg
こんなにきれいに残るものなのか

 ギリシアの神殿を髣髴とさせる、全体的にオシャレな雰囲気の神殿です。造りはギリシアやローマっぽいのにレリーフはエジプト。面白いです。ナイルのド真ん中に建造されたっていうのも何だか優雅だなあ。
 
 さて、駆け足でイシス神殿の観光を終えたあとは、バスでアブシンベルに向かいます。
 エジプト南部はツーリスト・ポリスの護衛つきで移動しなければなりません。銃をぶら下げた黒服や私服の警官が乗るバスが先導し、観光バスを集めて出発するのです。ものものしい。これをコンボイといいます。
 しかしこの移動がものすごかった。
 ガイドさんは「アスワンからアブシンベルまでなにもないデス。サバクしかナイ。ゼンブサバク」と言っていましたがまさにそのとおり。何もないところをバスは2時間半突っ走ります。推定時速150キロで
 とにかくものすごいスピードでものすごい揺れです。最近、中東のツアーでよく観光バスが横転事故を起こし、死傷者も出ていますが、こりゃ横転もするよという超スピード。まったく生きた心地がしませんでしたが、寝ました

 目が覚めるとそこはアブシンベル。
 ホテルに関しては……後述します。

 ホテルでいったん休んだあと、アブシンベル神殿に向かいました。
 これが噂通り、入口から神殿まで結構歩きます。
 陽射しはわれわれを殺すかのような強さ。

青空.jpg
いま12月だよな

 思わず撮ってしまった空である。
 これはフォトショのグラデーションツールで描いたグラフィックではない。誓って12月の空である。どこを見ても雲がない。
 ……。

見えてきた.jpg
あっ

アブシンベル大神殿(正面).jpg
お、おおおおおお

アブシンベル小神殿.jpg
う、うあああああ

 こ、これを見るために来た。
 こ、これが見たかったんだ、これが……。

 わ、わたしは……
 こ、ここに……
 本当に来てしまったのだ、

 と、思いました。
posted by モロクっち(諸口正巳) at 18:51| Comment(0) | 入エジプト記
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