2006年12月19日

カイロにて(4)

カイロ.jpg

 前日とは打って変わって充実した日だったかもしれない。

 朝起きたら喉に微妙な違和感が。……。何となく不安になるモロクっち。そしてその不安は現実のものとなるのだった。

 この日は朝から夕暮れまでフリータイム。
 さすがにこの時間も寝て過ごすのは勿体ない。家族は出発前、このフリータイムにもけっして街なんかに出るなと言っていたが知るもんか、何が起きても後悔なぞしない。死んだらそれまでというだけだ。チェックアウトまでホテルで寝ていたらそれこそ後悔しそうじゃないか。そもそもわたしは死ぬ覚悟でこの国に来ているのだ(……)。

 というわけで初海外だというのに無謀にもわたしはひとりでタクシーをチャーターし、前日にも行ったはずのカイロ考古学博物館へ向かったのでした。……。
 タクシーの料金の交渉にはいまいち失敗しましたが、カタコトでも運転手と話ができて楽しかったです。この日のカイロは朝から濃霧で、ナイルも街並みも何も見えません。

モ「カイロはいつもこんなにすごいきりなのですか。なにもみえません。」
運「ああ、そうだよ。毎朝こんな感じさ。霧はアラビア語で‘=〜)%#(聞き取れない)と言うんだ。昨日は暑かったし、夕方には雨も降ったし、今朝の霧はいつもよりちょっと濃いな」
モ「きのうのあさはきりがなかったです。それと、わたしはみっかかんカイロにいましたが、みっかかんともあめがふりました。」
運「あんたすげーラッキーだな!」
モ「エジプトのひとたちみんなにそういわれました。」

 雨が降ったとは言っても10分くらいでやんでしまったのですが、それでも、水はけず悪いせいで道ばたや道路の真ん中に水が溜まり、渋滞が起きていました。エジプトでは雨が降ると通れなくなる道がたくさんあるのだそうです。
 さて、朝イチの考古学博物館は空いていました。ツタンカーメンの秘宝もアマルナ美術も、ひとりじめのようでした。結局3時間くらい博物館にいたと思われます。昨日見られなかった神像や死者の書や動物のミイラも含め、おそらく、すべての展示室をまわることができたと思います。
 お昼も近くなると人が増え始め、各国の言葉での解説が通路を飛び交うようになりました。
 たぶんここでカバンをチェックされたあと、チャックやボタンを全開にしたまま人ごみに突入したため、ipodを落としたものと思われます。今ごろ踏み潰されて壊れてその辺に転がっているんだろうなあ。

 考古学博物館自体に駐車場はありませんが、道路を挟んだ裏側に有料駐車場があり、タクシーはそこで待っていてくれました。
 ……しかしよく見たら、タクシーの前にも後ろにも横にもぎっしり車が停まっていて、出られない状態じゃありませんか。一体どーするんだろうと思っていると、運転手がひとりの老人を呼んで金を渡しました。
 老人はおもむろに、タクシーの前にとめてあった車の前輪部分を持ち上げ、押して動かし始めました。……そ、そうか……その手があるのか……。
 帰り道、「あれがカイロで一番大きい病院だ(日本の個人病院でももっと大きい規模のがある、程度の大きさ)」とか「あれは美術館だ」とか「あっちに動物園がある」とかいろいろ教えてくれる親切な運転手でした。今まで乗せたお客さんが一言書き残していったノートを持っていました。日本人の名前もいくつかあって、わたしもその下に自分の名前とメッセージを追加。もう、この運転手と会うことは二度とない。そう思ったら書かずにはいられなかったです。

ギザ.jpg
当たり前のように街並みに溶け込む三角形 

 博物館から帰ってぐだぐだしてたら出発の時間。
 今日はハン・ハリーリ観光後、寝台特急に乗って一気にアスワンまで行く予定です。

フセイン広場.jpg
人がわいてくる

 ハン・ハリーリは観光地化し、物価がすっかり高くなってしまったそう。ここでおみやげを買うことに決めていましたがなかなか難しかったです。もともと人嫌いで口下手なわたしが海外なんかで交渉をうまくできるはずがないのですよ。
 一軒目の店ではものすごい値段をふっかけられ、あきらめて出ようとしたらがっちり腕をつかまれてなかなか解放してもらえませんでした。万力のような力とはこのことか。手を振り払い、半ば逃げるようにして店を脱出。そしたら間髪いれずに隣の店の客引きに腕を掴まれました。や、やめろーはなせー。
 触るな! と叫ぶとなぜか周りから「WHY!?」が飛んできます。こっちがなんでだと聞きたいよ(泣)!
 プンスカと狭い路地をいったん奥まで進んで引き返すと、さっき腕をいきなり掴んできた客引きが「ごめんよーもう触らないから許してくれよ、まあそれはそれとしてこのエジプト綿のTシャツを見てくれ!」とまったく悪びれずに再来。頭が痛くなりましたがエジプト綿のTシャツの品揃えはよかったのでそいつの店で1枚購入しました。
 それにしても日本人観光客は大人気。コニチワ! カワイー! ゼンブイチポンド! ゼンブイチドル! はまだいいとして(?)、なぜかサラバジャ! ヤクザ! ミルダケタダ! ヤマモトヤマ! バザール・デ・ゴザール! という呼びこみまで飛んできます。心ない日本人のしわざだな
 中には「ゼンブイチドル」と「ミルダケタダ」が合体してしまったらしく、ゼンブタダ! と叫んでいる客引きもいました。それ本当だろうな?

 ひととおり歩いて何とか買い物をすませると、もう息もたえだえです。ツアーで人ごみが苦手な人は、早々に集合場所に戻っていました。

カイロ駅.jpg
あんまり利用客がいないのか

 さて、実はモロクっちは寝台というのがあまり好きではない……というか修学旅行で乗ってひどい目に遭っていたので、正直嫌でした。
 プラットフォームで待つこと1時間、やってきたナイルエクスプレスは外観がぼろぼろ。否が応にも不安はつのります。
 しかし入ってみると、古びているとはいえ、意外と個室はそれほど狭くない。ひとりで利用するなら結構快適かもしれません。トイレも最悪なものを覚悟していたせいか、小奇麗だったので安心しました。

寝台での夕食.jpg
よほど嬉しかったようだ

 実はこの日、早朝に少し食べただけで昼もおやつも食べていなかったわたしは、寝台で出された夕食にものすごく感激し、写真まで撮っていました。この旅行で食事の写真を撮ったのはあとにも先にもこれっきりです。
 マズイと評判のこの食事、得体の知れない料理(肉料理が主だった気がする)ばかりだったというのに、わたしはもう危うく涙を流すのではないかというほど感激しながら食べていました。ほんとにうまかった。マジでおいしかった。イスラム教徒ではないのに断食の素晴らしさを知りました。こんなに食事っておいしいものだったんですね!!
 そしてこの日からわたしは、でっかい口内炎に悩まされることとなるのでした。
posted by モロクっち(諸口正巳) at 16:45| Comment(0) | 入エジプト記
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